かごぼん具'

おでかけにっき

20年分の技術革新を体験した。

今年はバイクに乗る時間があまり取れない。それでも毎年参加してるスタンプラリーだけはやっとかんなん思て、最寄りのBMW Motorradディーラーでエントリーしてきた。せっかくなので新型RSを見せてくださいと言ったら、試乗オッケイと仰るので乗ってきた。

実はいま乗ってるRoadster以外のBMW Motorradを運転するのはこれが初めて。1993年にデヴューしたR259系から現行の水冷ボクサーまでひとっ飛び、ほぼ20年分の技術革新を体験できた。新型RSは前輪懸架方式を刷新した。長年培ってきたテレレバーを廃止してテレスコピックを採用。テレレバーがやってたこと+αの仕事は電子制御式ショックアブソーバーがやってくれるらしい。ハーフフェアリングを装備し、やや前傾姿勢であるものの高速走行は楽チンすぎるであろ。それでいて低速走行も250ccかと思えるぐらいの軽快な取り回しは予想以上であった。あらゆる速度域において、何も考えなくても勝手にスムーズに走っていく。よく言う喩え「乗せられてる感」すら感じなかった。スマートキーや、クラッチを切らずにシフトチェンジできるセミATのような機能や、クルーズコントロールまで付いてる。ほとんど自動車のノリ。こんなの乗ってたら鳥取県まで走っても汗ひとつかかないんだろうな。パワーモードをDYNAMICにしてスロットルを捻ってみた。まったくストレス無くリニアに加速していく。視線をスピードメーターに落とすとわずか数秒で危険な数字に達しようとしていた。Roadsterじゃこれ以上出したくないなって位のスピードでも、RSなら涼しい顔で巡航できてしまう。恐ろしい恐ろしい。

ついでに水冷化した新型Rも試乗した。パワートレインとサスペンションはRSと同じ。スタイリングはネイキッド。今風のスラントした異形ヘッドライト。白いタンクに真っ赤なRの文字、フレームも赤くかなり目立つ。カッコ良すぎて恥ずかしいレヴェル。走り出す。RSと比べるとフェアリングが無くて軽量なうえに、低速トルクがあるから発進時にエンストの心配をまったくしなくていい。ただ、水冷なのにガチャガチャとメカニカルノイズが聞こえる。ウォータージャケットが防音の役割を果たさないほどコストダウンが図られているのか?そこだけかな。あとはイージーすぎて拍子抜けした。

どちらが良かったかと言えば、Rに軍配が上がる。理由はRSのフェアリングが思った以上に幅広くてコンパクト感がスポイルされてる。けれどもRもノーマルシールドではスカスカ感が半端なくて、しいて言うならコケたら割れるフェアリングよりもその心配しなくていいRかなと。ほとんど好みの問題。毎年どこか壊れるRoadsterもついに年貢の納めどきか。しかしながら、乗り易過ぎて物足りないとか、馴れるのに時間がかかりそうなデジパネ*1とか、フル電子制御というよく解らないものに身体を預けるのが逆に不安という感想もある。それにしても、あり余るパワーを受け止めるためにトラクションデヴァイスてんこ盛りに付けるんだったら、パワー控え目にして軽量コンパクトにパッケージングしたほうがバイクとしては楽しいのじゃないか。安全で楽に運転できるに越したことはないけれど、二輪のクルマと化した機械を操縦していてふと感じた疑問。今年は買わないが次期車両の候補にはなった。有意義な試乗だった。

*1:表示される情報量が多過ぎて目移りするうえに、フザけてるとしか思えないGUI